【マツダ アクセラ 1.5C ベースグレード試乗 インプレッション】

 

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昔から、

ベースグレードに乗れば、その車の素性が良くわかると言われているが、私はその言葉に大いに共感する。

昨今、そもそも片手間でデザイン設計したような車に、メーカーチューニングブランドの名を冠して、少し大きな出力を持たせたエンジンや、へんてこりんな外装を装備、いわば自己満足の塊のような車が多いように感じるが、私はそれらには全く食指が動かない。

むしろ、ベースグレード、廉価モデルであっても、基本設計がしっかりとした、メーカーが“仕上げてきたもの”には興味をそそられる。

しかし、一般に良く売れるのは、そうした車種にあっても、上位グレードの豪華装備モデルであって、ベースモデルの、素人の雑感というのはなかなか見つけるのが難しい。

今回、こういった大げさな前置きをして、インプレッションするのは、マツダアクセラ 1.5Cの6ATモデル。

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1500ccのスカイアクティブガソリンエンジンを搭載する当該モデルであるが、クリーンディーゼル大人気の中で、あえてこのグレードを選ぶ理由を皆さんと考えたい。

 

過不足のない1500ccエンジン

 この手の、車評でよく言われる、”過不足のない” という決まり文句ではあるが、そのニュアンスは、大きく分けて2つの(ある意味)対局する特性を差しているのではないか、と個人的には思っている。まず一つ目が、『限界まで使いきれる性能』を指している場合、二つ目が『そのスペックで充分な走行性能を発揮できる』ことを指している場合。

 

『限界まで使いきれる性能』は、エンジンが車両特性の大きな部分を占めるオートバイのインプレッションに使われる常套文句である。この車のエンジンは1500ccで大排気量グレードと比較すると、絶対的パワーは劣りますが、コーナーの立ち上がりで、しっかりアクセルを踏み込めますよ、(エンジンが軽いぶん)鼻先が軽くて、回頭性に優れますよ、といった具合だ。

こういった考え方は私自身、嫌いではない。が、なんとなく悲哀漂う、ネガティブポイントをあえてポジティブに捉えようとする観点だ。

 

一方で、『そのスペックで充分な走行性能を発揮できる』というのは、その車体を動かすのに、必要十分なエンジンを、車体特性、ドライブトレインの制御でカバーして、クルマ全体で考えたときに、それがよく作り込まれていることを指す。

 

このアクセラは、何者かといえば、私は後者であると感じた。

正直なところ、スカイアクティブ技術がガソリンエンジンに対してどれ程の貢献をしているのかは、わからない。(ガソリンエンジンとしては、圧縮比が比較的高く、燃焼効率を重視しているというのはわかる程度笑)

 

それはエンジンのピークパワー[111PS/6000rpm]、ピークトルク[14.7kg・m/3500rpm] という数字を見ても感じるハズである。

 

トルクの絶対的数字は大きくないが、発生回転数が常用回転数少し上にある、この如何にも現代的な、実用性能に振ったエンジン特性を更に際立たせるのが、6速のトランスミッションである。今や、6Sを多段と呼ぶことは出来ないが、一昔前の高級車でも4速が多く採用されてきたことを考えると、廉価グレードにとっては革新的な進歩である。

以前、先代のデミオ(1300cc、4AT)と、ムーブ(660cc、CVT)に乗った機会に、排気量が半分しかないムーブのほうがよっぽど、よく走ると感じた。

もう皆さんは重々ご承知かとは思うが、その時、改めて、エンジン特性とトランスミッションの組み合わせが車の印象を大きく左右するんだということに気付かされた。

 

話がもう一歩逸れて、恐縮だが、スバルの水平対向6気筒(3000cc)のEZ30というエンジンはショートストロークの高回転型で、元来とても楽しいエンジンであるにも関らず、搭載していたレガシィアウトバックのATではそのエンジンの素晴らしさは、ことごとくスポイルされていた。そしてとても貴重は6MT(SPEC.B というグレードであったと思う)は玄人好みの希少車として語り継がれている(ようです笑)。

 

殊、このアクセラのミッションに関しては、6段それぞれが割とクロス気味で、坂道など負荷が上がったときに、大きく踏み込む(ストレス)ことなく、サッとシフトダウンし、トルクバンドを維持しながら、無理なく駆け上がる。

このミッションの制御に、私は感服した。

<これこそがごく現代的な車>

車体に対して、大きなエンジン、豪華な内装、スペシャリティパーツ、そういったものをウリにするのは、いわば古典的な車造りだと思います。

もちろん、否定はしないし、そういった車にも乗ってきました。

でも、メーカーに目指してもらいたいのは、こういったいい意味での過不足のない車。

シンプルな観点で、良いクルマがこれからも増えていくことを楽しみにしています。